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2005年11月 1日 (火)

憲法制定権力と憲法改正

 関学九条の会の立ち上げをお知らせした前回の記事に、Y&Yさんから、次のようなコメントをいただきました。

 丸山真男について調べていてこのHPおよびブログに行き当たりました。富田先生の丸山論を読んで教えられるところが多く、また関学9条の会を立ち上げられたこと、尊敬します。質問があるのですが、丸山が『日本の思想』の中で、明治憲法の「欽定」以来、この国で「憲法制定権力」の所在が問題とされることはなかった、と書いていたように思います。今回の改憲の動きの中で、もう一度「憲法制定権力」とはなにか、またそれはどこにあり、「改正」案を起草する主体はどのように選ばれるべきか、という議論を提起することはできないのでしょうか。われわれは「国民投票」を待つことしかできないのでしょうか。不勉強で、どこかでこうしたことが議論されているのでしたらお教えください。

 難しい問題で、僕には応える自信がなかったので、立ち上げ間近の関学九条の会のメーリングリストに問題を投げかけたところ、早速幾人もの専門家からの応答がありました。

 しかも、その応答が、今日から公開開始の運びとなった関学九条の会のHPに掲載され、皆さんにもご覧いただけるようになりました。憲法制定権力と憲法改正をめぐるここでの議論は、非常に興味深いものになっています。

 憲法理論上はたして、9条改憲は現行憲法の憲法改正手続きによって行なうことができるものなのか?さらには、自民党の新憲法草案にあるような憲法改定規定の改定は現行憲法の憲法改定手続きにしたがって行なうことができるものなのか?

 こうした議論にすかさず対応できる関学九条の会の今後の活動の発展に、どうか乞うご期待!! 新たに開設された関学九条の会HPの充実にもご期待下さい。

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コメント

松本教夫(仮名)@立命館です。

富田先生
 遅まきながら、「関学9条の会」結成に対して、歓迎するとともに、賛意を送りたいと思います。いよいよ自民党の憲法草案が発表され、「小泉後継」の議論が活発になってきました。そんな中、内閣が改造され、次期首相の「通過点」たる官房長官に安倍が就任する事態になってきましたね。

 私も大学や地域、職場などで広い一致点に基づいて「9条の会」が結成され続けていることを知っています。

 私は主に日本の植民地期の台湾を研究していますが、最近の東アジア情勢を見ると、あるくに、あるいは複数の国が軍事的な力を行使する余地はどこにもないといってよいでしょう。中台海峡は、もはや「紛争地域」とはよべないほど、経済的な交流が進み、台湾の国民世論も「独立」などという世論はそれほど多くはありません。また、北朝鮮に対しては、6カ国協議という対話の枠組みが存在する限りは、対話の可能性はまだまだ開かれているといってよいでしょう。また、いうまでもなく「東アジア連合」構想は、この地域の平和的共存の可能性を国家間のレベルで模索するものです。

大きな「不安定要素」はむしろ日本です。東アジア連合の構想に日本は消極的ですし、国内の指導者の中には北朝鮮に対しての強硬論者が多い。また、イラクなどでのアメリカの軍事行動に対しての協力を国民的レベルで推し進めるための法整備が周辺事態法、有事法制という形で進み、ついに憲法をも本格的に破壊しようとしているのが、支配層の中の主流派です。

まさに我々自身が、不安定要素を作り出している側面をみなくてはならない。そして我々自身が、「不安定要素」から脱する道を開くことが求められています。

東アジア、あるいは世界平和の実現という課題のためにも「関学」から平和の可能性を切り開いてください。

投稿: 松本教夫 | 2005年11月 1日 (火) 21時26分

松本さん
 激励ありがとうございます。
 日本こそが東アジアの不安定要因という松本さんの認識は、まさにその通りだと思います。麻垣康三とかなんとか、メディアはいろいろ騒ぎ立てていますが、ほんとにヤバい状況がどんどん進んでいますね。
 第三次小泉内閣はますますタカ派色満開ですね。大増税をはじめとする国民負担増が不可避な状況のなか、靖国参拝や拉致問題を通じて自ら東アジアの緊張を高め、反中、反北朝鮮感情と排外主義的なナショナリズムを煽ることで、国民の不満と批判をかわしつつ、他方でアメリカとの軍事的一体化と集団的自衛権行使を可能とする「新憲法」制定で、対米貢献と対米従属を強めていく。こうした彼らのトータルなシナリオに対して、「東アジア連合」を展望したトータルなオルタナティブを提示していく戦略的な構想力が必要だと思います。
 9条は、こうしたオルタナティブ戦略の鎖の環なのだと思います。彼らにとっても9条改憲のハードルはまだまだ高い。ここに賭ける価値はあると思います。

投稿: 冨田宏治 | 2005年11月 1日 (火) 23時30分

 関学九条の会HPできてるんですね。
 市民社会フォーラムHPにリンク貼らせていただきます。

投稿: 岡林 | 2005年11月 3日 (木) 12時03分

富田先生

松本です。少し先生のご意見を伺いたいのですが。今回の自民党の憲法草案などを見ていると、9条の改定という側面が突出しています。これに関して先生のいわれる「トータルなオルタナティブ」を構想することは不可欠だと思います。
ただ、自民党の草案(あるいは民主党も多かれ少なかれそうなるでしょうが)は、いわゆる人権条項の改定も狙っていますね。例えば「公共の福祉」が「公の利益」にすりかえられていたり、これまで集会・結社の自由や、思想信条の自由という条項で全面的に保障されていた政党活動に関して、政党条項を設けて、国家が「政党とはこういうものだ」と規定してみたり、という具合に。

そこで質問です。「9条の会」をはじめとする改憲阻止闘争において人権条項の擁護と、平和主義の擁護をどのように一体のものとして掲げていくのか?
つまり、どのように説明すれば、平和条項と人権条項という2つの面が、いかに統一されているかを語ることができるのか、ということです。


おそらく、現代の日本で、例えば「国民生活の軍事化=人権の制限という問題が当然含まれる」という問題は、実は深刻な問題の一つではあっても、なかなかリアリティをもちにくいのではないかと思うのです。

国民の軍事への動員という点では、徴兵制というシステムが極めてわかりやすいでしょうが、自民党の幹部でもそこまでのことは考えていない(安倍でさえも)。必要なのは「政府に反対しない国民」をつくることであって、戦争遂行のための燃え上がるような戦意はあまり必要ではない。実際、イラク派兵という問題を、今どれくらいの人が深刻に考えているのか、甚だ疑問です。
(おそらく、改憲が実現した後、海外派兵がおこなわれているならば(おそらく行なわれるでしょうが)、政府のやり方に積極的に反対しなければ、一見、それまでとはかわらない生活を享受できてしまうでしょうし、反対論の痕跡すら消してしまうような情報操作が行なわれるので、大多数の国民には「戦時」の状態というものが認識されにくくなるでしょう。)

つまりは、リアルに戦争の影が認識しにくい状況の下で、いかに、人権という問題が憲法の中で重要かを認識させられるか、というのが私の論点です。

長々と失礼しました

投稿: 松本教夫 | 2005年11月 3日 (木) 13時56分

岡林さん、松本さん、コメントありがとうございます。

 岡林さん、関学九条の会のHPへのリンク大歓迎です。よろしくお願いします。

 松本さん、あい変わらず難しい質問ですね。
 関学九条の会のHPでの議論とも関係しますが、今回の自民党の改憲案は、憲法改正案ではなくて、意識的に「新憲法草案」になっていますね。それは、単なる名称の問題ではなく、内容的にも現行憲法の「平和主義」と「基本的人権」という基本原則に手を触れるとともに、憲法改正規定の改定をも含むもので、明らかに「憲法改正」の限界を超える「新憲法」の制定を目指すものになっていると言わざるを得ないものだと思います。
 それは、集団的自衛権の行使を求めるアメリカの要請に応えるというもともとの改憲目的に、復古的改憲派が便乗したという面や、国民投票での一括投票を導きやすくするという戦術的配慮や、憲法改正の憲法理論上の限界を意識した側面など、いろいろな理由によるものでしょう。
 こうして問題が、9条2項の削除という部分改訂の問題から、「新憲法」制定の問題に移ろうとしていることを、どのように受け止め、戦略的・戦術的に対抗していくのかという問題が突きつけられているのではないのでしょうか。
 Y&Yさんの質問と松本さんの質問は、ともにこうした問題に関わるものなのではないかと思います。
 「そもそも憲法とは何なのか」という問題、つまりは憲法とは国家が国民を縛るためのものではなく、国民が国家を縛るためのものであるということからはじめて、国家(state)と国民(nation)との基本的な関係についてや、そこにおける人権というものの意味はなんなのか、こうした「そもそも論」をめぐって、改めて問題提起がなされ、国民的な議論がなされなければならないように思います。
 もちろん改憲派はこうした議論を避けたいところでしょう。「9条を守る」という一致点を足がかりに、こうした議論をどのように展開していけばよいのか、難しい課題だとは思いますが…。

投稿: 冨田宏治 | 2005年11月 4日 (金) 02時28分

富田先生

松本です。毎度、申し訳ありません。なかなか難しい問題ですが、丁寧な応答に感謝いたします。私も、一市民として富田先生の回答を聞いて「なるほど」と思わされました。特に自民党が実は「全面改定」を狙っているというあたりは、確かにその通りだと思います。また、いろいろと先生のご意見を読んだり、聞いたりしたいと思います。
では、今日は失礼します。

投稿: 松本教夫 | 2005年11月 5日 (土) 00時58分

> 自分も関与していたにも関わらず、
> 西村晃一・関西学院大学 総合政策学部同窓会 会長に全てをなすりつけ
> 佐々木寿志・関西学院大学 総合政策学部同窓会 副会長(長峯純一ゼミ出身)

> 関西学院同窓会名古屋支部に シラをきりクリーンなふりをして出席
> http://kgnagoya.exblog.jp/m2003-12-01/
> http://pds.exblog.jp/pds/1/200508/01/43/d0042743_22212289.jpg

たいへん誠実な人物です。シラをきりクリーンなふりをしているその姿を、
みんなでじっくりと見守りつづけてあげましょう。たいへん誠実な人物です。

なお、関学9条の会がこの関与者を匿う場合は連帯責任をおとりになるものと致します。

投稿: 匿う場合は連帯責任をおとりになるものと致します | 2005年11月 6日 (日) 07時55分

>匿う場合は連帯責任をおとりになるものと致します
⇒意味不明の語句の羅列⇒不規則発言のパターン

投稿: 限界ハゲ | 2005年11月 6日 (日) 08時08分

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