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2010年1月13日 (水)

冨田起草委員長のNPT講座 第9回

原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の機関紙『原水協通信』にQ&A形式のコラムの連載を行うことになりました。せっかくですので、このブログにも転載することにします。

Q. ところで、核不拡散条約(NPT)といえば、特定の国だけに核保有の特権を認める不平等条約だったのではありませんか?この条約の本質に変化があったのでしょうか?

A. 核不拡散条約(NPT)は1968年に調印、1970年に発効した条約で、現在の締約国は190カ国。未加盟国はインド、パキスタン、イスラエルの3カ国を残すのみです。

 この条約が本質的に、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国という5つの「核兵器国」に核保有の特権を認める一方で、それ以外の国の核保有を禁止するという不平等性をもっていることは、いまもなんら変わりはありません。

 5つの「核兵器国」以外の国が核兵器を持とうとすることを核兵器の「拡散」というのですが、この「拡散」を禁止すること、つまり「不拡散」の取り決めと引きかえに、「核兵器国」は「誠実に核軍縮交渉を行なう義務」(第6条)を負うというのが、この条約のタテマエです。

 しかし「核兵器国」が、この「核軍縮」の義務を誠実に果たしてこなかったことは明らかですよね。イラクや北朝鮮、さらにはイランに見られるような「拡散」の動きに、国際社会が一致して対処し、その危険を防止していくためにも、「核兵器国」はNPT第6条に定められた義務を誠実に果たすべきなのです。

 もちろん「核拡散」の危険な動きは、どの国によるものだろうと、決して許されるものではありません。しかし、NPTの持っている不平等性をそのままにして、「不拡散」のみを問題にすることは、正統性を欠いています。

 「拡散」に対する唯一有効な対案は、現在の「核兵器国」も含めいかなる国の核保有も認めないこと、つまり核兵器を廃絶する以外にはないのです。

 2000年のNPT再検討会議の「明確な約束」とは、「第6条のもとですべての締約国が責任を負う核軍縮につながる、自国の核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」というものです。つまり、NPT第6条をタテマエに終わらせず、核兵器の「不拡散」だけを求めるのではなく、「自国の核兵器の完全廃絶」も達成するという「核兵器国」の約束だったわけです。

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